知の交差点思わず聞き入るCN対談第1回
子供たちがエコに楽しく取り組む環境を整え、豊かな自然を守っていく
——では最後に、将来の子供に残したい地球について、それぞれお聞かせいただけますか?
伊佐早 私は新潟生まれで、周りに田んぼや池があり、近くに海もあるという自然の風景の中で育ちました。防災の関係もあるので、川や海岸がコンクリートで固められていくのは仕方のない面もありますが、自然がいつも隣にあるような暮らしを残していきたいですね。我々化学メーカーも、さらに生産効率を高め、省資源かつ環境への負荷なく社会に役立つものを供給していきたいと思います。
井田 私は四季のある日本の自然が大好きなので、季節の移り変わりを感じられる自然環境が保たれている未来であってほしいですね。私は埼玉生まれで身近にホタルもいましたが、今は見られなくなりましたし、紅葉がきれいに色づかなかったり、桜が咲かなくなったりしている地域もあります。「昔は桜が咲いていたんだよ」と子供に言わなければならない状態にはしたくありませんので、四季のある自然を守っていきたいです。
そのためには、国の政策の転換も必要でしょうが、家庭でできることもあります。今、小学校や保育園でもリサイクルなどエコに関することをたくさん教えていて、子供たちは結構楽しそうにそれを学んでいます。地球環境に対する危機感を持つことはもちろん重要ですが、子供たちが生活の中でポジティブに楽しくエコに関わっていけるような取り組みを多くの大人が提示していくことも大切だと思います。
伊佐早 炭素税もそうですが、マイナスの部分を積極的にシェアしたいと思う人はいないでしょう。そういうマイナスを少しでも減らしながら、一方で環境に優しく、暮らしが楽しくなるような新しい技術や製品を創出し、広く世の中に提供していきたいですね。
井田 今では信じられませんが、少し前まではオフィスやバスの中でも煙草をスパスパ吸っていましたよね。いつかCO2も同じように「昔はいっぱいCO2を出してたって本当?」と昔話みたいに語られるようになればいいですね。カーボンニュートラルという言葉も死語になっているような世界が少しでも早く来ることを願っています。
——お二人ともに、貴重な体験やご意見を活発にお話いただき、とても有意義でわかりやすい対談になったと思います。ありがとうございました。

お二人の通った筑波大学の思い出話に花が咲き、緑に囲まれた広大なキャンパス模様と、自然に親しんでこられた経歴から語られるCN談義に、科学の面白さ・温かなまなざしを感じたひと時でした。1時間半の対談に立ち会えて、感激しました!
